アクセシビリティ
近年、ウェブアクセシビリティに携わる人は多く、勉強会などもよく開かれています。
しかし、私たちが接するお客様のほとんどは、アクセシビリティのことは初めてで、よく知らないのでいろいろ教えて欲しいと言います。実際、知識はほとんどないか、あっても断片的なもので、2000年よりも前から始まっていたアクセシビリティの普及活動は、アクセシビリティに携わってきた人たちが考えるほど実を結んでいないのだと痛感します。
ウェブ制作業者さんの間では、さすがに言葉くらいは知られるようになりましたが、機械ツールでの検証の段階で苦労していて、目視での検査スキルを持ったところはほとんどありません。
一方で、社会的なニーズは一層高くなっています。
誰もがインターネット無しの世界はもはや考えられません。さらに、今がインターネットのゴールではなく、まだ始まったばかりであって、新しい技術とサービスがこれから爆発的に生まれていくのは間違いありません。
そうした中で、今、アクセシビリティを当たり前のことにしないと、インターネットから恩恵を受けられる人と受けられない人との差はさらに広まってしまうのではないかと不安になります。
ウェブでの障害を持つ方への配慮は当たり前のものになるのでしょうか?
日本人は前の東京オリンピックのあたりからポイ捨てなどは注意するようになったと聞きます。残念ながら、今でもポイ捨てしたりガムを吐き捨てたりする人はいますが、そんな人は白い目で見られるようにはなりました。
ウェブのアクセシビリティに配慮しないのも似たようなもののはずなのに、こちらは堂々とアクセシビリティの問題のあるサイトが生まれ続けています。「うちはアパレル関係だから関係ないよ」「B2Bですから障害者は対象になりません」こんなことを平気で言う人たちは本当に多くいるのです。おそらく、ポイ捨てと同じように関係ないと無知であるのか、知っていても達成困難と決めつけ避けているのだと思います。
このサイトでは、初めてアクセシビリティの配慮してみよう思った方が、つまづくことなくスキルを得られるように、私たちが蓄えたノウハウを可能な限り出してしまおうと考えています。
スキルとはHTMLに関する技術だけではありません。ガイドラインの作り方、PDCAサイクルの回し方、人材の育成の仕方、障害に関する理解、さまざまなスキルがあります。
また、サイト固有の新しい問題に遭遇したようなときは、一緒に考え、解決までの過程を隠さず紹介することで、誰もが一定の問題解決能力を有するようになっていただければと考えています。そうして一定のスキルを持つ仲間が増えれば、無配慮な人たちの居心地は確実に悪くなるはずです。
ウェブ技術そのものについては、私たちよりも深い知識を持つ人たちがたくさんいます。可能ならば、そうした方達の支援も受けながら、アクセシビリティへの配慮が当たり前の世界になるきっかけを、このサイトから作っていくことができればと願っています。