「ポインタ」と「ポイント」は、どう使い分ければよいのか
WCAG 2.5.1「ポインタのジェスチャ」に関する説明資料やテストケースを作成していて、「ポインタ」と「ポイント」の使い分けに迷いました。
英語では、次の二つの単語が使われています。
- pointer
- point
英語で読んでいると、あまり迷いません。しかし、日本語では、どちらも「ポインタ」「ポイント」とカタカナになるため、少し分かりにくくなります。
pointerは入力するもの、pointは位置
ここからは、厳密な用語定義というより、私なりの実務上の整理です。
pointerは、画面を指し示し、操作するためのものです。
例えば、次のようなものがポインタに該当します。
- マウスカーソル
- タッチ画面に触れている指
- スタイラスペン
- ヘッドポインタ
一方のpointは、画面上の位置や接触した点を表します。
そのため、資料では次のように使い分けることにしました。
| 英語 | 日本語 |
|---|---|
| pointer | ポインタ |
| single pointer | シングルポインタ |
| point | 点、またはポイント |
| start-point | 始点 |
| end-point | 終点 |
| intermediate point | 中間点 |
WAICの日本語訳でも、達成基準本文のsingle pointerは「シングルポインタ」と訳され、ポインタが移動する位置については「始点」「終点」「中間点」という言葉が使われています。
シングルポインタは、一つの点という意味ではない
注意が必要なのは、シングルポインタは、一つの点だけに触れる操作という意味ではないことです。
例えば、一本の指でスワイプする操作を考えてみます。
操作に使用している指は一本なので、これはシングルポインタによる操作です。しかし、その指は始点から終点まで、多くの点を通過します。さらに、移動する方向や軌跡が操作の成立条件になれば、軌跡ベースのジェスチャになります。
つまり、一本指の操作であっても、軌跡ベースになることがあります。W3Cの解説でも、スワイプ、スライダー、特定の形を描く操作などが、軌跡ベースのジェスチャの例として示されています。
一方、二本指によるピンチズームは、同時に二つのポインタ入力を使用するため、マルチポイントジェスチャです。
「シングルポイント操作」という表現
W3Cの解説書の要約には、single-point operationという表現があります。WAIC訳では「シングルポイントによる操作」とされています。
これは間違いではありませんが、日本語の資料で「シングルポイント操作」とだけ書くと、「画面上の一つの点を押す操作」と受け取られる可能性があります。
そのため、達成基準2.5.1の要求を説明する場合は、私は次のように書くのが分かりやすいと考えています。
マルチポイント又は軌跡ベースのジェスチャを使用する機能には、軌跡を必要としないシングルポインタによる操作方法を用意します。
もう少しかみ砕くなら、次のようになります。
二本指による操作や、特定の方向・軌跡を正確になぞる操作を必要とする場合は、タップやクリックなどの単純なポインタ操作でも、同じ機能を利用できるようにします。
なお、キーボードで操作できるだけでは、2.5.1の代替手段として十分ではありません。ポインティングデバイスを主に利用する人もいるため、単純なポインタ操作による方法が必要です。
小さな用語の違いですが
「ポインタ」と「ポイント」の違いは、小さな言葉の問題に見えます。
しかし、ポインタを「入力するもの」、ポイントを「位置」と整理すると、シングルポインタ、マルチポイント、軌跡ベース、始点、終点、中間点といった関係が理解しやすくなります。
私は今後、原則として次のように使い分けようと思います。
pointerは「ポインタ」、pointは文脈に応じて「点」「始点」「終点」「中間点」とする。
英語をそのままカタカナに置き換えるだけではなく、日本語として意味が伝わる言葉を選ぶことも、アクセシビリティの説明では大切なのだと思います。
※ 本記事は、筆者の問題意識に基づき、生成AI(ChatGPT)を用いて草案を作成し、筆者が内容を確認・編集したものです。
