Webアクセシビリティ指数・プログレスレポート 2026 大学版

お知らせ

大学Webアクセシビリティは、個々のページの出来不出来だけでなく、大学という組織が社会にどう向き合っているかにも関わるテーマです。今回、大学版プログレスレポートの要点を1ページに整理しました。学内での共有や、大学の現在地を考える材料としてご覧いただければと思います。

大学Webアクセシビリティは、大学の中だけの課題ではありません。大学Webは、受験生、在学生、保護者、教職員など、多様な利用者にとって重要な情報基盤です。そのため、アクセシビリティは単なるページ品質の問題にとどまらず、大学が社会に対してどのように情報を提供しているかという、組織の成熟度や説明責任にも関わる課題です。今回の大学版は、企業向けに行ってきた「Webアクセシビリティ指数・プログレスレポート」の考え方を踏まえ、大学Webの実態を把握するために試行的に実施した初版調査です。技術基準への適合だけでなく、方針・実行・評価・報告・宣言といった、組織として外部から確認できる取り組みに着目している点に特徴があります。

今回の調査では、日本の主要大学25校を対象に、公開情報から確認できる範囲で観察・整理を行いました。その結果、平均点は24.2点、中央値は20.0点、最高点は49.6点で、A・Bランクに該当する大学はありませんでした。上位3校は東京工芸大学、川崎市立看護大学、慶應義塾大学でしたが、上位校を含めても50点未満にとどまり、全体の分布はC〜Eランクに集中しています。大学Webアクセシビリティの取り組みは、一部に先進的な実践が見られる一方で、分野全体としてはなお発展途上にある状況がうかがえます。

また、項目別に見ると、「評価」には一定の点数が見られる一方で、「実行」「報告」「宣言」は低水準でした。特に、「宣言」は全大学で得点がなく、「実行」もごく一部に限られました。 これは、ページ単体の品質改善に関する努力は一部で進んでいても、それが大学としての方針、公表、継続的な発信に十分つながっていないことを示しています。アクセシビリティは、入試広報、学生支援、教育DX、図書館、研究広報などにまたがる大学全体の課題であり、組織的な取り組みとして可視化されてこそ、社会の中で意味を持ちます。

本レポートは、単に「問題があるかないか」を示すものではありません。大学の取り組みがどの段階(A〜E)にあるか、どの評価項目が進み、どこが不足しているか、次にどの方向へ改善を進めるとよいかを可視化するものです。調査項目は、方針・実行・評価・報告・宣言・懸念の6つで構成されており、大学内の実務資料であると同時に、企業や公共団体、海外大学も含めた社会全般の中で、自大学の現在地を考えるための材料になります。

本調査は、大学全体を統計的に代表することを目的としたものではなく、現状を概観し、今後の継続的な調査設計につなげるための基礎的な把握として位置づけられています。しかしその意味で、本レポートは結論ではなく出発点です。大学Webアクセシビリティを、学内の個別課題としてではなく、社会に開かれた情報基盤のあり方として捉え直し、方針の明確化、実施状況の公表、継続的な報告へとつなげていくための共通材料として活用されることを期待しています。

調査レポート本文はこちらからダウンロードできます。


活用例:学内での現状共有、方針策定、公開情報の整備、改善計画の検討のための基礎資料。