逆差別の議論とアクセシビリティ――誤解を防ぐために知っておきたいこと

お知らせ

 

少し気になる記事があったので紹介します。

マクドナルドが最近、多様性、公平性、包括性(DEI)の取り組みを一部見直したようです。
("DEI 多様性 見直し" で検索してみてください)
背景には、米国で「特定のマイノリティを優遇する施策」が行き過ぎているとして「逆差別」と見なされ、新たな訴訟リスクになっていることがあります。特に、アファーマティブ・アクションの議論が注目されている中で、DEI目標が批判される事例が増えており、マクドナルドもこれに対応した形です。例えば、同社は「過小評価されているグループ」の割合を上級管理職において増やす目標を撤回し、サプライヤーに求めていたDEI要件も廃止しました。

この動きはマクドナルドだけでなく、コストコ、トヨタ、日産など他の企業でも見られるようです。同様に、企業は法的リスクや逆差別の批判を避けるため、慎重な姿勢を取るようになっています。

ただし、この流れはデジタルアクセシビリティとは別の話です。米国でも、DEI施策の見直しとWebアクセシビリティを混同している議論は確認されていません。むしろ、Webアクセシビリティの重要性はますます増しています。高齢化社会を迎える中、デジタル技術を誰もが使いやすくすることは、社会全体にとっての課題です。これには、高齢者だけでなく、障害を持つ人々、一時的な制約がある人々(例:腕をケガしているなど)にも恩恵があります。

また、Webアクセシビリティを向上させることは、企業にとってもメリットが大きいです。ブランドイメージの向上や、新たな顧客層の獲得につながるだけでなく、訴訟リスクを回避する効果もあります。

米国の動きが、多様性に対して単純に非積極的になってきていると誤解はしないようにした方が良いかと思います。
むしろ、適切なバランスを模索する動きの一環と捉えるべきでしょう。